弁護士が頭を抱える こんな依頼者(タイでこんな日本人)

 

タイ在住支援法律事務所に訪れる依頼者の方々には、ご自身の事件解決の為に有効に弁護士を利用してもらいたい、最善の策で潤滑に解決に至ってもらいたい、無駄な費用や時間を費やさないでもらいたい、というのがタイ在住支援法律事務所の弁護士一同の思いです。ここでは、そんな依頼者とのリレーションシップの難しさを具体的に紹介するとともに、様々な頭を抱えてしまうケースを見ていきたいと思います。

 

タイ在住支援法律事務所のご依頼者のほとんどは、フリーペーパーやインターネットで検索して、法律相談に訪れる人が基本となります。弁護士と依頼者(相談者)は、最初は勿論「初めてご対面」という事になりますが、弁護士の業務は、初めてお会いする相談者の人生に起こった問題やトラブルを、どのように解決していくかを受任するわけなのですが、当然、最初お会いした時に依頼者が、「この法律事務所は大丈夫かな?」「この弁護士は、どんな弁護士なのだろうか?」と思うのと同じように、弁護士も相談者が、どんな人なのか全くわかりません。しかし、法律事務所に相談に来る人は何らかのトラブルや問題を抱えていらしてるわけなので、当然、気持ちが穏やかではなく、中には、相談段階で感情的に取り乱す方も多いです。

 

初対面でお会いした際、まずは、相談内容や依頼者がどうしたいのかなどをお伺いして、その依頼を受任するかどうかを判断します。そして、よっぽどの問題がない限りは、依頼されれば受任をお引き受けし受任します。

 

相談者の要求内容が非道徳的であるという理由から、受任をお断りすることは殆どありません。しかし、それ以外の理由や、依頼者の要求・請求内容で弁護士が受任をやむを得ず断ることは多々あります。例えば、弁護士に委任しても依頼者の利益にならないと見た場合や、当事務所や弁護士の基本的な思想信条に合わない場合、また、証拠が乏しく勝ち目が全くない場合や、費用対効果がなく依頼者に取って費用倒れに終わってしまうだろうと判断した場合などです。

 

しかし、それとは別の理由で、率直に言ってしまうと、弁護士が「弁護したくない、受任を引き受けたくない」と思う時があります。コミュニケーションが取りづらい(相性が悪い・フィーリングが合わない)くらいの理由だけなら、まだ、いいのですが、しかし、その中には「とんでもない手に負えない依頼者」がいるのです。

 

 

弁護士が「弁護をしたくない、受任をしたくない!と思う「20」のタイプとは?

 

⑴ アポイントなしに突然、事務所へ相談に訪れる人

電話やメールでの連絡もなく、予約もせずに勝手に事務所に入って来る。勝手に来ておきながら、弁護士が外出中だったり、既に、別の方の優先のご予約があると伝えても、「何で予約が無いとだめなの?」「弁護士いるんだろう!」「なぜだ?!」と文句を言う。

 

※通常、ご相談者やご依頼者とのアポイントがない時は、弁護士らは、裁判や調停で法廷に出廷していたり、警察案件で警察署に詰めていたり、手続き等で第三者機関に出ていたりするので、アポイントなしで来ても、いつでも、弁護士が事務所にいるわけではない。

 

 

⑵ 自身の問題に対する怒りや憎しみを弁護士に向けてくる人

もはや、法律相談ではなく、弁護士や通訳などが、怒りの矛先に利用されてしまう。自身に起きた問題の恨みを弁護士に投影してくる人。中には、初めて電話してきた法律相談の電話口で、いきなり興奮して怒鳴ったり、思うようにいかない怒りをぶつけてくる人もいる。

 

※法律相談をするとか、法的アドバイスをする以前に、これでは、まったく話にならない。

 

 

⑶ 依頼しておいて、音信不通になる人

嵐のように、何十通ものメールを送ってきたり、大量の資料や証拠を送ってきたり(しかも、常識範囲を超えた量)、散々、5回も10回も電話で相談や質問をしてきて、「もう、ここしか頼る所がないんです!」「是非、問題解決お願いします!」「2、3日中に弁護士費用を振り込みますので!」などと言いながら、こちらは、送られてきたデータや証拠を纏めたり、弁護士会議で、その人の事案について話し合ったりしているのに、突然連絡が取れなくなる人。

 

正直、この手の人たちは、どうしたいのか不明です。正直、とても迷惑。

 

 

⑷ 弁護士の説明に対して、理解したフリをする人

「ご質問や、他に弁護士にお伝えしておきたいことはありますか?」などと聞いても、その時は「大丈夫です」と解ったフリをして、後々、「そんな話は聞いてない」、などと後から面倒な事になる人。また、弁護士と駆け引きをしたがる人もいるが、弁護士との駆け引きなどもまったく無意味。

 

※説明内容が分からなければ解ったフリをしない、聞きたい事があれば、その場で説明を求めようう。

 

 

⑸ 感情的になって話にならない人

恨みや憎しみの感情ばかりに捕らわれていて、怒鳴ったりわめいたりして、解決に必要な経緯や情報を聞き出そうとしても、何を聞いても、すべて自身の感情の話へ脱線してしまう。重要な日付確認を行っているのに、その日付が刺激になり、また、話が自身の感情論へ脱線していく。そして、本人は、話しているうちに、弁護士の質問自体が何だったか忘れてしまう。

 

話しが前に進まないばかりか、法的解決に必要な状況確認や事実証拠などの争点についての情報を聞く時間がなくなってしまう。これでは、1日話を聞いても拉致が明かない。

 

 

⑹ 嘘をついたり、隠し事をする人

そんな嘘をついて何の意味があるのかは、不明。「お金を貸したのは確か」と言うが、借用書がないにしても、お金の動きがわかる通帳や領収証もない。貸したお金に関する文面でのやり取りもなければ、信用できる第三者の証人もいない。実際は、フリーランスで正社員としての雇用契約も結んでないのに、自分は社員だと言い張り、「解雇された!解雇補償金を請求するんだ」と憤り、途中で嘘だと発覚した事例もある。

 

隠し事をしている場合も、解決へ向けて進めている段階や、裁判だと、相手が提出した証拠書面などから、必ず「何かおかしいな」、「つじつまが合わない」という風に浮上してくるものだ。弁護士が、事前に知っていれば、事前措置を図るなり、また、違った戦略で解決を図ることもできただろうが、後々、隠していたことが明らかになることが多く、結局、不利になってしまう。

 

※隠し事・嘘をつく依頼者は、かなり多くいるので、重要な証拠は、受任前の相談段階ですべて確認してから受任・着手としている。

 

 

⑺ 相談者(依頼者)の言っていることが理解できない

主語や目的語が抜けていて、しかも、何をどうして欲しいか、どうしたいかも明確でない為、聞いていても何のを話をしているのか、全く理解が出来ない。争点を見分ける為の証拠書類等があれば、まだいいが、それすらもなく、仕方がないので本人から書面にて説明を求めても、これも、また何について記載しているのか理解ができない。

 

更にもっと理解ができないと思い人は、「いつも耳元に誰かがいて、その人がうるさくて、とても迷惑を被っているから、相手に損害賠償請求をしたい」、「証拠はないが、家の鍵が閉まっているにも関わらず、毎日、家の敷地内に大勢の人が嫌がらせに来ている」等。

 

※宇宙人と会話してるのようで、何を言っているのかまったく理解ができない。対応にもとても困るのだが、こういう人が結構いる。

 

 

⑻ 最低限の自分の情報すら説明できない人

証拠整理で、「いつ・何月何日」「誰に」「誰から」「いくら」「どのように」お金を支払った(受け取った)かという自分に起きた出来事すら覚えていない。相談者(依頼者)があまりにもいい加減だと、事件処理に時間が掛かり支障をきたすだけでなく、期日までに必要な書類などを提出してもらえない。

 

※苦労させられた挙句、作業も受任業務も取り掛かれないので、最終的には辞任せざるを得なくなる。

 

 

⑻ 主張ばかりで、証拠提示がまったくない人

証拠の提示がまったくない。「証拠がなくてもどうにかしろ!それが、弁護士の仕事だろ」との態度で、自分が悪くないという主張ばかりする。口頭だけで自分の主張をする人に多い傾向がる。自作作った(時には、手書き)書類などを持参し、領収書やお金の流れが分かるものが全くない。口頭だけで「言った」「言わない」、「騙した」「騙された」の主張をする人。相手方がいる以上、言った言わない、借りた借りていないというような主張だけでは信用性に欠けるので、「何しろ重要なのが客観的な証拠、そういった書面が必要だ」と伝えても理解しない。

 

※相手方がいる以上、口頭の主張だけでは信用や信憑性に欠けてしまいう。特に裁判では証拠(客観的な証拠)が十分でないと通用しない。また、証拠なしでの提訴は、相手方から迷惑行為などとして反訴を起こされる可能性も十分である。このような人を依頼者として迎えてしまうと、解決が困難なだけでなく、無駄に時間がかかってしまう。

 

 

⑼ 訴えたいことは理解できるが、何度聞いても共感できない

人間関係のトラブルで憎悪むき出しだったり、これは民事での紛争だと説明しているのに、「刑事告訴して刑務所に入れることは可能ですか?」、「相手が捕まった場合、どんな罪になりますか?」などと言ったりする。

 

※法的解決できそうな請求も含んでいて証拠もある場合、つい受任してしまうこともあるが、依頼者の目的はトラブルや問題の解決ではなく、憎しみや恨みを晴らすことであり、事件を法的に処理しても依頼者が満足することはなく、結局、弁護士が依頼者の恨みを買って終わることになる。

 

 

⑽ どちらかというと、相談者の方が間違っている

「洗濯機置き場の近くに電気の差し込みプラグがない。だけど、延長コードは使いたくない。このことを、入居前に、不動産会社が説明しなかったので家賃を支払っていない。契約は、1年契約になっていて、まだ、1年経っていないが、ここを解約したい。コンドミニアムが解釈を認めないなら訴えたい」。

 

他にも、「働いている会社の社長が気に入らない。やる気がでないから会社へも行っていない。会社の社長を辞めさせたいのだが何かいい法的手法はないだろうか?」等。よく聞けば、平社員(株主でも役員でもない)だと言う。

 

※この手のタイプは、本気でそんなことが出来ると思い込んでいる為、何度もその様な相談メールを送って来たり、電話を掛けてきたりする。何度、法的にもそんなことは不可能だと説明しても理解せず、そんなことは出来ない社旗の仕組みを一から説明しなければならなくなる。しかし、こんな感じの相談をしてくる人が結構多くいるが、タイもこのような人を支援する法律が存在していない。

 

 

⑾ 弁護士に相談するような相談内容でない

「旦那と別居したいが、お金がないからその後の生活が不安。年齢もいっているので就職もできないと思う。昔、10年程前に、旦那に浮気されたことを今でも忘れられず、思い出すと今でもつらい気持ちでいるが離婚する気はない」と、ただただ、自分の境遇を聞いてもらいたいだけの人。

 

また、「昨夜、タイ人の彼女と喧嘩をして、彼女が携帯電話を私の部屋に忘れて出て行った。彼女から、携帯を返して欲しいと言われている」「返さなかったら、警察に訴えると言われた。それは困る。どうしたらいいのか?」等。これらは、まだマシな方かもしれない。

 

一方、「スクムビットエリアで仕事を探すとしたら、どの派遣会社に登録すると、面接に通りますか?」、という様な相談者までいる。

 

※無料相談で、事件でも何でもない話や人生相談を延々とやられると、電話を受けるオペレーターや、日本語対応のコーディネーター、それを聞かされる弁護士も困り果てることになる。こんな感じのメールや電話が、10件に一回くらいはくる。

 

 

⑿ 散々、大騒ぎして弁護士報酬が支払えない人

相談段階で、こちらが「事件の争点になる証拠(何が必要か細かく説明して)を確認させてください。」と言っているのに、何十通ものメールに添付ファイルを添えて、事件解決に関係のない書類まで大量に送りつけて、その中から重要な書類を確認しろと言う。この様に常識範囲を超えた大量の資料や証拠書面を散々送ってきて、「もう頼むところおたくしかありません。助けてください。本当に宜しくお願いします。」と、一通りのやり取りを散々に渡りした挙句に、「えっ!無料で裁判の受任していただく事はできないんですか?」、「すべて、成功報酬でお願いできませんか?」と、まったくお金がない。

 

※法律相談は無料で実施していても、受任して作業や事件解決に着手するとなれば話は別。弁護士も仕事として依頼を受けているので、何もかも無料奉仕というわけにはいかない。

 

 

⒀ 費用倒れになると伝えているのに、しつこい人

費用対効果を考えたら、依頼者に取って費用倒れに終わるであろう事案だから、受任をお断りしているのに、それを説明しても理解しようとしない。案件によって、5,000バーツの被害額を請求したかったとしても、被害の額面に限らず、解決に要する弁護士の作業量や使う時間はそれなりになるので、費用対効果がないと伝えてお断りしても納得しない。

 

※感情の満足の為に、マイナスになってでも何とかして納得したい気持ちは分かるが、こういう依頼を受けても、こういう人に限って満足の留まるところはないことが殆どである。結果、恨みの矛先が弁護士に向く。

 

 

⒁ 弁護士が示した法的処理方針に批判的な人

自分の考えや主張だけが正しいと頭が凝り固まっている人。法的措置や法的解決で処理できることと、できないことがあると伝えているのに、「○○すればいいだけじゃないか!」「こうしたらいい、ああしたらいい」と持論や独自の解決法(実際に法の場では使えない)を提案してきて、まったく弁護士の得策やアドバイスを聞かない。更には、「いやいや、そんなことしたら犯罪になるからね」というようなことまで、弁護士にぶつけてきて「法律家なんだから、それくらいやれるだろ!」などと言ってくる。

 

※この手の人に限って、法的解決に必要な事実証拠や根拠の提示が全然なかったり、自分に不都合なことや大事な証拠書面を隠していたりする。

 

 

⒂ 弁護士の得策やアドバイスを無視する

とにかく自分勝手な行動をとる。前もって「今から、事前措置として、○○しておいた方がいいですよ」、逆に「○○は、しないで控えた方がいいですよ。後々、厄介なことになります」という様なアドバイスにも、信用をしていないのか、全く聞く耳を持たないで勝手な行動をとった挙句、結果、最悪な状況になってから、「○○と、最悪なことになってしまって…どうしたらいいでしょう?」と相談してくる。

 

※再度、得策をアドバイスをしても、こういう人は聞く耳を持たずに、また、勝手な行動をすして、更に問題を大きくする。

 

 

⒃ 弁護士は自分の思い通りに動くのが当然と考えている(モンスタークレーマー)

弁護士なのだから「その権威の元になんでもできるだろ!」、「金で雇っているのは自分なんだから、何でも自分の得策に従って行動しろ、言うことを聞け!」と言わんばかり。中には、本当に言ってくる人もいる…。

 

最初の依頼時に感じが良くおとなしい人にも多い。後々、モンスターに変身するのだが、自分の思い通りにする為には、平気で嘘をついたり、勝手な作り話をしてきたりして、言った言わないで丸め込もうとしてきたり、怒鳴ってみたかと思えば、脅し作戦、それがだめなら同情してよ作戦。それでも、こちら側が動じないと、終いに説教でねじ伏せてこようとしたりする。

 

特に、この手の人に限って、こちらで必要な書類を求めても、なかなか送ってこない。裁判所や第三者機関は、約束日時に制限や限界があると伝えているのに、一度、打ち合わせて決めた日時を、自分の都合の時間に合わないから「時間を変更をしろ」と言うから、弁護士は、依頼者の希望に合わせて、時間の取り直しや、それに要する書類の作り直しに追われているのに、「何でこんなに時間が掛かるんだ。いつ終わるんだ!」と文句を言う。

 

日本でもタイでも共通で「裁判所や政府機関等の公共機関は、通常、土日祝日はやっていない」と伝えているのに、「自分は、土日以外時間がないから、じゃ、どうする?」などと、散々困らせた挙句に、「対応の悪い弁護士だ」「2度と依頼しない」などと書き込みをしたりする。

 

※こういう人たちのお陰で、依頼者との委任契約書や受任に関する規定内容が増えていくことになる。(後々、言った言わないで揉めたり、無駄な時間やエネルギーを費やすはめになるので)

 

 

⒄ 行き過ぎた不安障害と完璧主義者

弁護士の法的作業の進め方や裁判所での手続きについて、やたらと自分の主観や考えを基準に、「ああするべき、こうあるべき」と指導してきたり、あたかも弁護士(当事務所)の上司かのように、何かにつけて事務所内の管理をしようとしてくる。しかも、この手のタイプは、どうでもいい事件解決と関係ないところに細かく、親身に丁寧な説明をすればする程、面倒くさいことになる。

 

弁護士は、裁判や相手がある場合は、相手の出方に対し臨機応変に当初の方針を見直したり、変更しながら進めていくわけだが、この手のタイプは、弁護士の法的手法の軌道修正が必要な場合にも、頭が凝り固まっている為、なぜ軌道修正が必要か理解しない為、納得させるまでに、とてつもない労力を使う。

 

また、信用していないのか、一年中、「ミス」「ミス」がないかと不安に駆られて、大枠を外れた問題じゃないことを重箱の隅を突くかのように糸細かく確認してきたり、裁判の勝敗を左右したり問題解決の争点と関係ないことや、事件解決の争点とは直接関係のない事柄ばかりについて電話を掛けてきたり、確認メールを送り付けてくる。

 

また、このタイプの中には、「更新情報があれば、直ぐにお知らせします」と伝えているのに、「今、どうなっていますか?」「何か更新情報は、ありますか?」「まだですか?まだですか?」と毎日のように確認してくるタイプもいる。

 

※こういう人の案件を受任すると、この人の不安を和らげる対応や作業に追われ、肝心の問題解決のための基本業務が進まないことになる。

 

「日本だったら…こんなに時間が掛からない!」と、「日本」「日本」と持ち出す人も、このタイプが多い。確かに、日本は、世界一と言ってもいいくらい時間に正確な国かもしれないが、ここは、言うまでもなくタイなので、なぜ、タイに来て「日本は、日本は」と言っているのか意味が分からない。いくら弁護士や当事務所で日本的なタイムマネージメントを心がけていても、ほとんどの場合、弁護士らが手続きや取り交わしをしているのは、タイの公共機関や政府機関と別の機関や組織なのだから、日本のようにいくわけがないし、弁護士に彼らを動かす権限が、そもそもない。

 

 

⒅ 優柔不断で一度決めた事を変更してしまう人

せっかく時間を使い「解決ができる理由」を詳細まで説明し、散々の話し合いで同意してスタートしたことを、「やっぱり考えたんですが、えーっと、あの…その…。」と、もはや、できる理由ではなく、「できない理由」をわざわざ一生懸命探している様子である。そして結果、何も決心や決断ができないでいる人。せっかく書類を整えて解決に向けてスタートを切っても、すべてが無駄になったりする。証拠が不十分で、解決に難易度がある場合ならまだしも、ばっちり証拠が揃っていて回収見込みが高い場合に、それを説明し伝えても、「あーでもない、こーでもないと、例えば…、でも、…かも。」と、結局、決断をしない。

 

※決断をしないなら、最初から相談する意味すらもない。お互いに時間とエネルギーの無駄になるだけだ。

 

 

⒆ 勝つか負けるかだけでしか見ることができない人

この手のタイプは、感情的な発言をしたり、理論的でない発言をする人が多い。大切な場面で、話し合いが混乱して和解ができなくなることやトラブルを避けるため、このような問題のある依頼者に対して、意見は慎重にするのだが、依頼者が感情的な発言をしたために和解ができなくても、それは、やはりやむを得ないことだ。

 

ただし、感情的な発言で和解が不可能になる危険があることの説明はしておく。そして、和解した場合と判決になった場合の利点と不利な点の説明だけは依頼者に知らせる。この様に、トラブルを解決する際、勝ち負けの視点だけではおさまらない事もある。

 

裁判や交渉においても、そのような時にはお互いに譲歩して和解して解決を図ることになるのだが、自分の考えだけに凝り固まっていて、自分自らの考えだけがすべて正しいと思っている人には、示談や和解どころか、自分が完璧に勝ったという結果以外は認めない。そんな人の中には、裁判官が「ここで示談で和して請求金額を受け取った方が有利だ」と言っているのに、「裁判所が、自分が正義だということを判決で証明して欲しいので、裁判を続けます」などと言いだす。

 

 

※そうなると示談や和解をした方が有利だと勧めたり(裁判を進めることにより、回収金額が減ってしまうであろう場合)、時には、実際に勝訴判決が裁判所から出ても、内容自体が自分の求める100%の結果じゃない場合、結局、その批判の矛先は弁護士に跳ね返ってくる。

 

 

 

⑳証拠や情報をまったく提示せずに、アドバイスを得ようとする人

証拠はあると言いながら、口頭だけで何の書面や証拠を提示してこない人。何か自分に不都合なことを隠しているのか、見られると恥ずかしいからという理由の場合もあるようだが、真実を隠してアドバイスを得ようとする人。それだけでも困るのに、「だいたいでいいから、弁護士費用の見積もりが欲しい」「民事裁判の費用はいくら掛かりますか?」などと言いだす。自分の状況や事件内容を明確に提示せずに、「だいたい似た様なケースについて教えて下さい」と、こちらの状況を理解しない。

 

※弁護士は法律相談の際に、相談者の説明を裏付けできる事実証拠や事実証明できるものを確認させてもらう。当然、弁護士が正確な情報や事件内容が分からなければ、足りない証拠は何か、補足する証拠はあるかすらもアドバイスできない。どのような法的措置をとることが得策か、また、相談者が求める回答にも的確に答えることができない。

 

どこ(どの機関)で、どんな措置を取るのか、事件解決の難易度や解決までに掛かる作業量や時間はどれくらい掛かりそうか、経費や手数料などどれくらい掛かるものなのかを精査しなければ、見積り算出はできないからである。それにしても、これじゃ、まったく話にならない。

 

 

最終的に何が言いたいかというと…。

このような理由から弁護士受任をお断りすることがあります。このような相談者の中には、「受任しないってことは、弁護士に解決する能力がねぇってことだろ!」などと野次を飛ばしてくる人までいますが、その程度で済めば、このような人たちの受任を受けることを考えたら御の字だったりします。

 

一応、法的措置が取れる範囲内と思い、万が一、間違って上記のような依頼者を受任してしまうと、弁護士は本来するべき受任内容の業務とは別に、困った人たちの対応に時間を取られることになってしまいます。そして、弁護士との間に挟まれているスタッフ、通訳や秘書たちのストレスは爆発寸前になるのです。通常、弁護士チームは、依頼者の案件や事件解決に一団になって取り組みます。それが、このような依頼者を引き受けることによって、チームの団結力が崩れ、依頼者の問題を解決するどころか、迅速に最善の解決が困難になってしまいます。しかし、この手の人たちは、どこへ相談しても同様の事態になっていると想像できます。

 

そんな時、弁護士は「もう、ホントお願いだから早く辞任したい、解任されたい」というのが本心で、最終的には、この手の「とんでもない手に負えない困った依頼者」を受任してしまうと、実績があって経験豊富な弁護士でも、もうお手上げで、降参するしかありません。

 

結論として何が言いたいかというと、これは、弁護士にも依頼者にも「双方にとってマイナスなだけ」であり、「無駄エネルギーと時間と費用を費やす事」にしかなりません。自身の問題や事件を解決しに法律事務所へ来て、更にトラブルじゃまったくもって意味がありません。

 

私たち法律専門家や弁護士は、依頼者を「お客様」ではなく「クライアント」と呼びます。その「クライアント」の言葉に秘める関係性とは、一方的に弁護士が依頼者を保護(弁護)するというのではなく、弁護士が援助し解決策を提供するほか、共同(協力し合って)で力を合わせるという意味を含みます。足並みを揃えながら「持ちつ持たれつ助け合う関係」でこそ良い解決が図れるのです。

 

少し言い方は酷いかもしれませんが、自分だけの感情を主張しても何も解決しないのです。特に裁判などでは証拠が十分でなければ通用しません。また、勝手な行動をするのではお手上げです。思う事や希望があれば事前に相談して欲しいのです。また、相談なく勝手な判断での方針転換などは解決にマイナスになります。何のために弁護士を依頼するのかと言えば、問題を解決し紛争を収めるためなのですから、無駄な時間と費用を費やして無意味になってしまわないようにして欲しいのです。