弁護士が依頼を断る原因は、いくつかのパターンに大別される

よくある、弁護士が依頼を断る時の7つの理由

弁護士が法律相談や受任の依頼を受けた際に、相談自体をお断りしたり、ご依頼者からの弁護士受任依頼にお答えできない場合に、どんな事由があるかをまとめました。

 

 

①利益相反の場合

弁護士の規定により利益相反は禁止されていることから、基本的に、匿名でのご相談は対応しかねます。利益相反であることが判明した場合には、ご相談自体をお断りする可能性があり、弁護士が事件の受任をお引き受けすることはできません。

利益相反行為『ウィキペディア(Wikipedia)』

 

②専門外の事件(特種案件)の場合

弁護士にも、その弁護士によって得意不得意があります。ほとんど扱ったことがない事件(特殊な事件)は、よっぽどのことがない限り受任はしません。例えば、紛争相手の弁護士は、その事件を専門として過去の経験や判例を多く持っていて、こちらが、その分野の法律に関して基本書を読みながら裁判を進めていくとなれば、勝訴の見込みはありません。

 

③最初から、敗訴が目に見えている事件の場合 

原告(訴える側)で、証拠がほとんどない場合等も含め、初めから負け筋の事件も受任しません。最初から敗訴することが分かりながら訴訟を提起したのでは、不当訴訟となってしまうだけでなく、高い弁護士費用を払っていただいた上で、費用対効果としても依頼者の利益にならないからです。被告(訴えられた側)の場合、負けるとしても、原告からの請求より有利な結果を得ることができる場合や、最初から、相手の請求が過剰だったり過大な場合は、和解案を目的として受任することがあります。

 

④弁護士に利益がない場合

たとえ勝訴しても、まったく弁護士の利益にならない事件も引き受けません。弁護士は誰もが、事件に必要とする労力や時間、裁判の結果から得られる報酬がどの程度のものか分っています。弁護士の受任業務は、その弁護士の思想信条に合う場合や特別な理由がある場合を除いて「利益にならない(儲からない)」事件は受任しません。

 

⑤優先の案件で多忙な場合

弁護士は、一人一人が多くの案件を抱えています。受任している案件は、責任をもって解決に向け遂行させる義務があることから、現行で受任しているクライアントの案件で時間的にも余裕がなく、新たな案件を受任するには多忙な状態である場合は、既に委任いただいているクライアントの事件解決を最優先として受任はしません。

 

⑥弁護士費用が払えない場合

弁護士より事前に知らされていた費用体系に基づいた報酬や、裁判費用などの経費まで出し渋る依頼人は、当然、弁護士も相手にしたくないので、受任したとしても、積極的に解決してあげたいとは思わないでしょう。弁護士に依頼してまで得たい成果があるのに、その対価を支払いたくないと考えるようでは、最初から弁護士に依頼せず、自身の力で事件の解決することを考え直された方が良いのではないでしょうか。

 

⑦依頼者に信頼が置けない場合

法律相談の段階で話してみて、依頼者が信頼に値する人でなければ受任しません。裁判は、依頼者と弁護士が協力関係において、二人三脚で事件解決に挑まなければなりません。ですので、相互に不信な状態では、よい結果が得られるはずもないからです。受任の途中で、信頼が置けないことが判明すれば、事件解決の途中で辞任・解任という結末になります。

 

また、依頼者側も、一度、その弁護士に依頼したのなら、信頼しないと良い結果は生まれません。人としての礼儀・モラルが守られていれば、敬遠するほどの酷い弁護士は、ほとんどいません。もちろん、信頼に値しないほど人間的に問題のある弁護士なら、いつまでも任せていないで後任の弁護士を探すべきですが、そもそも、依頼した弁護士以外の弁護士へ相談するのは、予め弁護士を替える前提のはずです。そうではなく、意見だけ聞きたいという理由で、他の弁護士に相談するのは、現在、依頼している弁護士にも、相談した他の弁護士にも失礼です。本気で紛争を解決したいと思うのであれば、弁護士と信頼関係を築くことが重要で、いつ解任されるかわからないのに精力的に支援したいと考える弁護士も存在しないでしょう。

 

弁護士が受任できない事由を伝えるか否かについて

依頼者に信頼が置けない場合、弁護士は依頼者へ、受任できない理由を伝えればいいのかもしれませんが、その理由を伝えれば「トラブル」になることがあります。専門外の事件の場合や最初から負け筋の事件の場合、また、多忙でお引き受けできない場合は、はっきりと率直に相談者に伝えることもありますが、弁護士にまったく利益がない場合においても、「弁護士は、儲からなければ仕事しないのか!」などと、キレてくる人がいるため、基本は、事由を伝えないことが多いです。

 

レストランで、「金は払えないけど、空腹で困っているのだから、料理を無料奉仕しろ」と言っても、料理を出してもらえないのと同じで、弁護士業務はボランティア活動ではないため、「弁護士にも利益がなければ受任は引き受けない」というのは、至って当たり前のことなのですが、依頼者の中には、弁護士費用の出し渋りをしたり、依頼者自身が弁護士費用が用意できない場合、弁護士も正当な利益を得る権利があるという、当たり前のことを当たり前に理解しない方もいらっしゃいます。

 

世間では、得られる何かが大きくなればなるほど、対価が大きくなるのは常識です。当事務所では、初回の法律相談は無料にしていますが、実際に受任となれば、正義感だけで弁護士報酬を下げるのはとても無理です。

 

また、依頼者に信頼が置けない場合は、「あなたの言うことは信用できないし、信頼が置けない」とは、もっと、お伝えしずらいのです。また、弁護士は、お金を払えば何でもしてくれる便利屋ではありません。全ては、依頼者ご自身の事件解決のためであり、その過程である弁護士への依頼の段階でつまずく様では、先が思いやられるのです。

 

弁護士が受任をお断りした際、相談者が、「どうしても、自分の事件解決を受任してほしい」「何で引き受けないんだ」と、怒る方がいらっしゃいますが、キレる前に、どうして受任をしてもらえないのか、ご自身の胸に手を当てて、しっかり考えた方が賢明でしょう。

 

基本的に弁護士は、「正当な事由がなければ、受任を断ってはいけない」という規定や、「事件について受任する法的義務」、「受任しない事由についての説明義務」は一切ありません。依頼人が弁護士を選ぶ自由もありますし、弁護士が依頼を断ることも自由に出来ます。契約は依頼人と弁護士との自由意志に基づいた任意になります。