裁判離婚には法廷離婚事由が必要

タイ人との離婚(親権)裁判

タイにおいても,離婚はそもそも離婚したい当事者が協議をして互いが納得すれば離婚できますが,一方が納得しない場合でも,タイの民商法典で定められている離婚理由(法定離婚事由)に該当すると離婚が可能です。離婚裁判をするためには、いくつかの条件を満たさなければなりません。協議での話し合いがまとまらないといって、離婚裁判を起こせるわけではありません。

 

実際の離婚場面で「性格が合わない」「性格の不一致」、「価値観の違い」「文化の違い」などとよく言われますが、しかし、そのような事由だけで離婚ができるというわけではありません。婚姻生活が破城していると認められることが重要となります。

 

まずは、「法廷離婚事由」があるかどうか を確認しましょう!

タイで裁判離婚をする場合の法律で定められた離婚事由(原因)が必要です。法定離婚事由(ほうていりこんじゆう)とは,相手が拒否しても離婚できる離婚の原因で,タイの法律で規定された裁判で離婚する際に必要となる理由(原因)のことを言います。

 

裁判離婚は、夫婦だけの話し合いでは相手が離婚に応じてくれず、話が纏まらない時に提訴するものです。ですが、「裁判で離婚する相応しい理由」が必要になります。この理由は、「マーター1516条 法廷離婚事由(離婚の原因)」といい、タイ国法で定められております。

 

 

「離婚の訴えの離婚事由」は、以下

 

1. 夫が妻以外の女性と不貞行為をしたり、を扶養をしたりした場合。若しくは、妻が他の男性と姦通した場合。

 

※離婚事由に該当する配偶者は、「有責配偶者」と呼び、この配偶者からの離婚請求は、原則として認められない。

 

2. それが刑事上の過失であるかどうかに関わらず、夫または妻の悪品行で、もう一方が著しく恥辱を受ける場合悪品行者の夫または妻であり続けることにより、他人から軽蔑を受け侮辱されたり、憎悪の対象となる場合。

 

3. 夫または妻が、もう一方の父母・祖父母の心身を傷つけたり虐待をする、また、侮辱や軽蔑をし、その程度が著しい場合。

 

4. 夫または妻が意図的(悪意)に相手を一年以上遺棄し、扶養及び扶助を与えない場合。一年以上の懲役刑を言い渡された場合。

※夫婦間の義務である、「同居義務」「協力義務」「婚姻費用分担義務」のいずれかを果たさない場合を、悪意の放棄と言います。

 

(a)夫または妻が過失により一年以上の禁固刑の確定判決を受け、もう一方がその過失に関与していない、または同意、感知していなかったとき、夫婦であることによってもう一方が著しい損害、苦難を被る事由となる場合、もう一方は離婚を訴えることができる。

 

(b)夫婦として通常の生活を共にできない事由により、夫または妻が自発的に連続して三年以上別居したとき、または裁判所の命令により三年以上別居したとき、双方とも離婚を訴えることができる。

 

5. 居住地から三年以上に渡って行方不明で連絡が取れない、裁判所から失踪宣告を受けた場合。また、誰もその生死を確認できない場合。

 

※どこにいるか分からないけれど、メールや電話で連絡が取り合うことが出来る場合は、これには該当しません。

 

6. 夫婦としての環境が悪く、夫または妻がもう一方をしかるべく扶養できない場合や、地位や生活状況を考慮すると、関係を受け入れることで、過度の障害や多くの困難を被る場合、夫婦の関係に著しく反する行為を行った場合。

 

7. 夫または妻が3年以上継続して精神異常の状態にあり、その精神異常が治る状態になく、回復の見込みがない場合。かつ夫婦として生活を共にすることができない状態の場合。

 

※専門医による専門的な鑑定などがあり、証明された場合。

 

8. 夫または妻が品行に関する文面にした誓約を破った場合。夫婦の関係に著しく反する行為を行った場合。

 

9. 夫または妻が、不治の危険な伝染病にかかり、配偶者に感染のおそれがある場合また、その病気が慢性で治る見込みがない場合。

 

 

10. 夫または妻が、まったく性交できない身体状態にあるとき、肉体的に問題があり、夫婦としての性交が永久に不可能である場合。

 

 

この他にも、暴言・暴力・精神的虐待など、いろいろな事柄が含まれます。相手が離婚を拒否していても、上記の様な理由があれば離婚することが可能です。ですが、相手方の配偶者が長期間に渡り、離婚事由があるにもかかわらず同意ないし黙認していた場合、約束違反の行為が軽微な場合や、その原因を相手方配偶者が作ったと思われる場合には、離婚できないとされています。

 

 

離婚に伴い親権争いがある場合

親権については、タイでは、離婚後の親権は単独親権とされております。協議離婚の場合は離婚時に親権者についての合意を、群役場で交わしますが、その際に、どちらかが親権をもつというだけでなく、養育費や子供との面会などについてなど、細かく決定内容の記載を残すことも可能です。

 

裁判離婚で親権争いが絡む場合には、最終的には、裁判所が親権者を決定しますが、裁判でも、調停員などを挟んだ協議段階では、子供との今後の関わりや養育での役割などの詳細を決めることも可能です。

 

離婚の協議が成立せず、裁判離婚をお考えの方は、早くに新しい人生を踏み出すためにも解決にむけて是非、早めにご相談ください。