タイでの弁護士の選び方

タイで弁護士を決める際、どうやって選べばいいの?

 

タイ在住支援法律事務所では、基本的には、ご依頼者の事件や案件に強い専門の弁護士を選任していきますが、問題は 、その弁護士に依頼すべきかどうか? つまり、ご依頼者にとって、その弁護士が本当に良い弁護士なのかどうかです。実際にご依頼者側から見て、どのような弁護士だったら「良い、弁護士」と言えるのでしょうか?

 

 

普通の人が、的確に良い弁護士を選ぶことができるのか?

 

結論から言うと、普通の人に適切に弁護士を選ぶことはできない、と言っていいでしょう。例えば、お医者さんの場合でも、普通の人から、そのお医者さんの本当の「医療技術」がどんなものなのか、外から見ても、知りえるものでないのと同様に、弁護士の士業は、職人的な技術の側面を兼ね揃えた仕事であることや、日本とは違う、タイの法律を扱うこともあり、専門性が高いことから、そのタイという異国での手続きや業務内容に対して、法律相談に訪れた際やご依頼時に、普通の人が、適切に評価をなしうるものではないからです。

 

しかし、弁護士に相談して、ご自身の案件や事件解決を委任するということは、病気であれば、お医者さんに大手術を任せるのと同じぐらい、めったにない人生の一大事であるはずなので、「適切に良い弁護士を選びたい」と考えるのは当然のことです。ですので、これから、タイで弁護士を選ぶときに、どのような観点から弁護士を選べば良いかをご紹介します。

 

 

弁護士の能力は、何を観点に判断すればいいの?

 

タイで問題やトラブルに直面したときに、どうしても法介入が必要になり、その依頼弁護士を選ぶ時には、どんな方でも、その分野について専門性を備えた能力の高い弁護士に相談して、依頼したいと考えるでしょう。しかし、「弁護士の能力」と言っても、多義的で普通の人から見て簡単には分かるようなものではありません。更に、タイ人弁護士との会話には、通訳を通して情報を共有していくことになるため、言葉や人種の違いから、「弁護士の能力」を見極めるのは、到底、無理があることでしょう。

 

弁護士の能力は、普通の職業に着く人たちと同様に、年齢がいっているからと、必ずしも能力が高くなっていくわけでもなく、弁護士になる前の司法試験の成績が良かったり、優秀だったからといって、実務経験で能力を発揮できるとは限りません。やはり、専門家としての目利きやセンスがなければ、実務上で能力が高いと言えるわけではありません。では、どんな弁護士が、良い弁護士なのでしょうか。その弁護士の特徴を見ていくと、下記の様な特徴があります。

 

  • 客観的に見た際、経験が豊富で実力が高い弁護士
  • 口頭での説明が分かりやすく、上手な弁護士
  • 素晴らしい書面を作成する弁護士(タイ語なので、日本人には分かりずらい)
  • 研究熱心で知識の豊富な弁護士
  • 研究会を開催したり、多くの論文などを手掛けている弁護士
  • 良心的で誠実な弁護士(情動的で優しい)

 

上記のような弁護士は、「良い弁護士」であることは確かです。しかし、上記のような弁護士が皆、依頼したいと思っている事件の解決において「本当に良い弁護士」なのかというと、一概にそうとは言い切れません。事案に即した充実した準備書面(裁判所に提出する書面)を起案する能力があるかは分かりませんし、戦略の立て方や、法廷での弁論技術能力が高いとも限りません。

 

実際、有能な弁護士は、事件内容の大枠を直ぐに理解し、その紛争の類型や問題点を直ちに把握して、適切に勘所を押さえて迅速な対応が可能です。また、弁護士は、常に、事件や事案内容に応じた綿密な計画と、オーダーメイドの戦略で対応していかなければなりません。ただ、これらを普通の人たちが判断し、有能な弁護士かどうかを評価するのは、やはり限界があるでしょう。

 

 

弁護士の過去の士業経験や取り扱った裁判例を探る

 

判断材料の一つとして、過去の裁判例は、弁護士が事件の解決を進める上で、実際に裁判官を説得して、納得させてきた証ですから、その弁護士が取り扱った過去の裁判数や事件内容にもよりますが、弁護士の実践的能力を証明させるものであることは間違いありません。

 

しかし、法廷へ出廷している弁護士であれば、誰でも最終判決を得るのは日常の出来事ですので、単純な事件では、結果の良し悪しがどうであれ、能力を推し量ることは殆どできません。また、反対に、誰がどう見ても大負けの結果であろうと思われていた判決を、負けを最小限に抑えることができるなど、結果的に負けてはいても、その「負け方」の技術も重要となります。

 

また、実際には、予防的な法的事前措置も含め、紛争や事件の解決においても、最終的に裁判官の判断を得ることなく、訴訟前や訴訟手続の途中、調停などの協議・話し合いにて、和解や示談により解決に至ることも多いものです。そして,そのような紛争解決の場合、できる弁護士の場合、依頼者にとって確実に利益が得られ、望ましい最善の結果を出すことが可能なのです。

 

 

弁護士としての姿勢や態度について

 

たとえば、説明がわかりやすいことは、弁護士として重要な能力ですが、話の上手な弁護士と実際に話してみて、「なんとなく口がうまいだけ」のように感じてしまうご依頼者もいるようです。それとは逆に、口数の少ない(奥手で口下手な)タイプの弁護士でも、ご相談者の事件内容を黙って聞き、ご相談者の質問に結論だけ短く簡潔に答えてくれる弁護士もいます。

 

ご依頼者の質問に、回答や適切な応答がないなどということになれば話は別ですが、「敷居が高い弁護士(イメージはそれぞれ)」というのは、ある一定のご依頼者からすると、特別、悪い物でもないようです。多くの案件を抱えて忙しいはずの弁護士が、まったくもって敷居の高さを感じさせないとなると、それは、逆に「この弁護士で、大丈夫かなぁ」と思うご依頼者もいるようです。少し偉そうなくらいの弁護士だからこそ、信頼感を感じる人もいれば、大人しくて気弱でそうな弁護士だけど、温厚そうで、腰が低いのが誠実だと感じる人もいるのでしょう。

 

 

その弁護士が、案件に意欲的に取り組むかどうか

 

 まず、一番に弁護士が考えなくてはならない大切なことは、ご依頼者のための最善の利益とは、何かです。専門的視点や観点から多角的に考え、最善の結果に近づくためには何をするべきか、また、手続や裁判の準備過程において、ご依頼者に有利になるような手続きや準備するべき事柄は、本当に本当にたくさんあるのです。そういった、ご依頼者からは、直接は見えないところで、細かい配意を欠かさないことが弁護士の業務です。

 

弁護士の意欲は、そうしたことをしてくれる(してくれそうな)弁護士か、どうなのか?このようなことは、「プライドが高そうな弁護士」だとか、「にこにこしていて感じがいい弁護士」だとか、表向きの弁護士のイメージからは、量り知れないことが多いのです。要するに、これまでの人生で養ってきた、ご自身の「人を見る確かな目」で洞察し、最後は、それに頼るしかありません。

 

また、弁護士の熱意は、経験の浅い若手弁護士の多くに見られますが、決して若手弁護士だからダメというものでもありません。若さと新米弁護士ならではの熱意で、交渉相手や法廷を圧倒し、圧勝を導くことも多くあります。

 

 

弁護士選びで最も重要なこと

 

弁護士の選び方としては、様々な視点や観点が必要だということは、お伝えしました。また、それらが、一般の人からは分かりづらいものだということも、お伝えしてきました。また、結論としては、どんな依頼者にとっても、どんな事件においても、常に良い弁護士は、いません。ですので、ご依頼者各自にとっての「本当に良い弁護士」を選ぶ必要があります。

 

法律相談に足を運んでいただいた際、解決への見通しについては、「確実なことは、まだ何も言えない」という場合がほとんどですが、弁護士の説明する難しいことは分からなかったとしても、弁護士の応答の仕方や適切さなどは、ご相談者の感覚的なもので感じ取ることができるでしょう。違う言い方をするならば、「フィーリングが合う」とか、「直感的に相性で選ぶ」のと同じです。

 

たとえば、「信頼できる」ことは、結果から見れば大切なことです。しかし、出会って間もない弁護士を、最初から信頼できるわけがありません。では、どうすればいいのかと言えば、弁護士を選ぶ際、ご依頼者が、「(この弁護士なら)何でも話しやすい」、「信頼できそうだ」と感じられれば、それでいいのです。そのようにして、弁護士を選べば間違いありません。

 

これは、ご依頼者にとっても、弁護士にとっても、これからの問題解決までの協力関係で大切な事になってきます。ご依頼者が、弁護士に委任する事件の詳細内容を十分に説明できて、弁護士からの助言を十分に理解できれば、必要な打ち合わせが苦になりません。この交流や協力関係が上手くいけばいくほど、弁護士も十分な実力を発揮でき、一番良い状態で、その事件の処理を進めて行くことができるのです。それによって、ご依頼者もその弁護士を信頼できます。