労働問題(解雇案件)

働く労働者と雇用する企業側で起こる問題

労働問題、解雇、

タイにおけるタイ企業や日系企業(事業主:使用者)を問わず、タイにある企業とタイで働く労働者と間の紛争が対象となります。タイの労働法は複雑多岐にわたり、労働者の権利を保障して、職場でのトラブルや紛争を防止し、万が一、トラブル・紛争が発生した場合に解決への道筋を定めています。

 

タイ労働省などの行政機関への訴えや労働裁判は、個別的労使紛争の解決を目的とするタイの制度で、法的手続も整備されています。タイ労働省や労働裁判所を利用して、労働者と事業主(使用者)間の紛争であれば、あらゆることを対象に審判ができます。

 

タイで最も多い事件案件としては、不当解雇が一番に挙げられますが、その他、退職強要や労働条件(賃金)の切り下げ、給与賃金や残業代、や退職後の退職金の未払いなども挙げられます。また、日本では、馴染みになってしまったパワハラ・セクハラ案件は、近年、タイもパワハラやセクハラに対する新法案が確立されました。

 


~目次(表示)~

 

◆労働紛争(企業側)
◆解雇・退職
◆給与賃金の切り下げについて
◆交渉・労働局への訴え・労働裁判

        ⑴ 会社との交渉

        ⑵ タイ労働省への訴え

        ⑶ タイの労働裁判

 

◆労働問題は多岐に渡る

        労働者側から見た労働問題

        企業側から見た労働問題

 

 

 

◆労働紛争(企業側)


労働者の権利意識は、一歩間違うとそのまま企業側の大きなリスクとなっているという現状があり、この様な労働問題は企業においては極めて重要となります。

 

従業員との間で労働に関する紛争が発生してしまった場合は、初期段階での対応を誤ると、途端に問題が拡大してしまい、その他の従業員にまで会社のマイナスイメージを植え付けてしまうことや、社会的な信用にまで影響が生じてしまうこともあります。

 

また、会社は、従業員との労働紛争を抱えながら通常の業務をも行わなければならないため、経営者側のストレスや負担はとても重くなってしまうでしょう。従業員との紛争が生じた場合は、交渉段階から裁判に移行した場合の見通しを意識して、適切な対応をすることが必要となります。

 

当事務所においては、企業側へ伸し掛かるリスクの回避策を提言すると共に、労働事件案件の経験や知識が豊富な弁護士が、解雇問題や雇用問題に関する法的アドバイスのご支援を積極的に行っております。

 

 

◆解雇・退職


解雇は、タイの法律に沿った理由がなければ許されません。ただ単に、労働者の「能力に欠けている」、「態度が悪い」、「業績が悪い」、また、会社の「業績が苦しい」などの会社都合だけで、会社は働く人を解雇することはできないのです。タイの労働法に基づいた判断がなされなくてはなりません。

 

解雇の有効性の判断は、解雇に「客観的合理性」と「社会的相当性」が認められない場合やタイの労働法規定に反した解雇は無効となります。解雇案件によっては、明らかに会社側の解雇が無効と考えられる不当解雇のケースがある一方、労働者側の問題が浮上し、解雇が有効であるか否かが微妙であるものも少なくありません。

 

タイでの解雇案件の解決方法は、事業者(使用者)側に解雇が無効と判断された場合、退職金規程で定められた退職金のほかに、解雇補償金の支払いを受けるものがあります。

 

 

 

◆給与賃金の切り下げについて


会社の事業者の独断で、労働者が同意もしていないのに一方的に給与賃金を切り下げることは許されません。必ず、労働者側と書面等での同意が必要となります。就業規則を変更しても、原則として許されません。また、もし会社の業績が乏しくても、労働者の賃金は最優先して支払わなければなりません。

 

 

 

◆交渉・労働局への訴え・労働裁判


タイで働いている労働者側に不当解雇等の労働問題が起きた際には、下記の3つの解決方法があります。

 

⑴ 会社との交渉

事業者(使用者)との交渉では、弁護士が会社に対して受任した旨を通知した上で、代理人として交渉することによって問題の解決を図ります。交渉だけで解決する事件も少なくありません。交渉による解決が図れない場合には、法的手続きを取ることになります。

 

⑵ タイ労働省への訴え

タイ労働省への訴えは、労働省の労働審判員により行われる手続きです。労働省の労働審判員は、労働者と事業者(使用者)との架け橋となり、短期間の審理で権利関係等の判断を行った上で労働審判官(裁判官)へ審理内容を送り、審判が出されます。審理にかかる平均期間は2か月半程度です。それほど複雑でない案件に向いています。なお、審判に対して、30日以内に異議が出されると通常訴訟に移行します。

 

⑶ タイの労働裁判

タイ在住支援法律事務所は、設立から長年にわたり労働事件に力を尽くし、解雇(不当解雇)・賃金や残業代(未払い)・人事などについて労働者の権利を守る裁判事件を数多く担当して、労働者の権利を擁護するために活動してきました。

 

権利関係について証人尋問を行って審理するのが労働裁判です。訴訟では、一審の判決が出るまでは半年近くはかかるのが普通です。しかし、一審では、大半の事件が裁判所にて協議交渉で解決されており、このように訴訟途中で、裁判所による和解の勧告がなされて早期に解決できるケースでは、労働者と事業者(使用者)の話し合いによる合意に基づく紛争解決となりますが、万が一、合意に至らない場合には、通常訴訟の判決に相当する「労働審判」が裁判官から下されます。労働審判に不服がある当事者は、30日以内に異議申立をすることができ、異議申立がされた場合、事件は二審に移行します。

 

 

 

◆労働問題は多岐に渡る


最初の法律相談の段階で、労働事件の解決の見通しを弁護士が判断していきます。どのような法的手段を用いるかは、ご本人のご希望とタイの法律との兼ね合いによって決めることになります。

 

労働問題は、職場や労働に関する問題は多岐に渡り複雑なだけでなく、使用者側と労働者側で視点や利害がまったく異なるため、事業者(使用者)と労働者間で解決するよりも、法的専門家からの適切なアドバイスや支援が不可欠な法律分野と言えます。弁護士は、職場のトラブルや労働問題である不当解雇、退職強要、不利益処分、給与賃金不払、パワーハラスメントなど多岐に渡ります。

 

 

●労働者側から見た労働問題

労働者側からすると、労働をしてお金を得ることは生活の糧であるだけでなく、個々の自尊心や自己評価に直結するので、一度、問題が起きてしまうと感情的な対立を感じやすく、当事者間で穏便な解決をすることが難しいと言えます。弁護士は、当事者に代わって相手側と交渉することができます。相手側との話し合いを陰からアドバイスをして支援することも可能です。 

 

 

●企業側から見た労働問題

企業側の方については、このような、労働者とのトラブルを事前に防止するために、しっかりした就業規則や雇用契約書の作成や労働者との具体的なトラブル解決に対するアドバイスや支援についての相談にも応じています。特に、当事務所で顧問弁護士をご契約いただいている企業では、顧問弁護士は、普段の企業内での法律相談等を通し、その企業の内部事情に詳しいですから、内部事情を踏まえた上での対応や迅速な解決が可能です。

 

 

タイ在住支援法律事務所には、多数の労働事件を処理してきた労働法の分野を専門的に扱う弁護士チームが在籍しています。日系企業が抱える従業員との労働問題やトラブルを、適切に迅速に解決していきます。まずは、お気軽にご相談下さい。

 

 

 


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