タイで招かれたパーティーは自分の結婚式だった!強制結婚式の実態

 

タイ人の彼女から、パーティーの誘いがあった…

僕(日本人男性 K)は、タイで知り合って3ヵ月間程度のお付き合いをしていたタイ人女性に、「来週末、私の田舎へ一緒に行かない? 親にも紹介したいし、友人の所でパーティーがあるの!」と誘われた。興味深々で、もちろん直ぐに僕は「OK!」と告げた。

 

今思えば…それが安易で大きな失敗だった。

 

彼女がどんな所で育ったのか?両親や家族はどんな人でどんな生活をしているのか?

タイ人の生活自体を除いてみたい!と、何も考えずに一言返事で「いいよ」と言ってしまったのだ。

 

 

田舎のパーティー会場(友達の家?)に着くと…。

 

タイ人の彼女は、綺麗な衣装で着飾って僕の傍へやってきた。衣装をひらひら嬉しそうにはしゃいでいる彼女に、僕は、彼女に「おー、綺麗だね~、可愛いね~」と褒めたたえていると…。

 

何やらタイの民族衣装のような服を差し出されて、「あなたも、この衣装に着替えて」と彼女に言われた。

 

 

支持されるがままに、タイの民族衣装に着替え、生まれて初めて化粧まで施された。その間に、彼女はどこかへ消えて行ってしまった。

 

その後も、彼女の付き人の様な人?に言われるがままについて行き、パーティー会場とやらに案内された。パーティー会場を見た時、「おー!彼女が言っていたパーティーって、友達の結婚式かぁ⁉」と、初めて見るタイの結婚式が、どんなものか興味深々だった。

 

しかし、その後、案内されて座った場所は、「あれっ?えっ?ここって、新郎新婦が座る席じゃないのか???」、横にいる彼女に、あれこれ尋ねていると、彼女は、「いいから、言われた通りにして」と、何やら儀式の様なものが進行していった。

 

会場にいる皆が、彼女と自分に注目している‼

 

うっ、嘘だろ?! もしや、これは自分の結婚式か? いや…間違えない!うわっ、やられたー!何で僕が会って3か月程度のこのタイ人娘といきなり結婚しなくちゃならないんだ?

 

と、ここで初めて、自分が新郎で主役なんだということを理解した。しかし、これは何かの間違えだ!と騒ぎ立てるほどの勇気もなかった。

 

結婚するなんて言った覚えはなーい‼

 

 

結婚式を終えて、さて、この後どうなるのか?

 

その日、言われるがままに儀式を終え、大勢の人たちと会食をし、多くの人たちと握手を交わした。タイの結婚式では、その出身地の習慣にもよるらしいが、宴会の時間に終了時間を定めていないことが殆どだそうだ。

 

来賓客が全員帰れば終了となる。なにしろ朝から、とてつもなく長い一日だった。

 

 

 

 

結婚式が終わり…ほっとしていたら、更なる出来事が…。

さて、何だかわからないまま自分の結婚式が終わり、彼女の実家へ移動してきた。まだ、今日の出来事について頭の中が整理できずにいる中、彼女のご両親は、「ここに座りなさい」と言い、お茶を入れてくれた。タイ語で何を言っているか分からないが、彼女の両親や姉妹兄弟ら家族の話をぼんやりと聞いていた。

 

ご両親の話を、彼女が僕に英語で説明し出した。どうやら、今日の結婚式の費用を払えと言いたいようだ。領収書や紙に書き出した費用を計算し、全額で25万バーツを僕に支払えとのことだった。あっけに取られて彼女や家族の話を聞いていたが、さすがに理不尽な請求に対して、やっと言わせてもらった。

 

「自分の知らないところで勝手に結婚式の計画を立てられて、いきなりやって来た場所が自分の結婚式なんてあり得ないし、これまで、結婚する約束を彼女と交わした記憶もない!なぜ、僕が支払わなければならないのか?」

 

彼女とその家族は、一瞬、顔色を曇らせたが、その後、彼女の父親がこう言った。

 

「娘の結婚式は大成功だった。日本人男性と結婚式を行った娘は、近所の人たちや親類にも今や自慢の娘となった。君が、25万バーツを払ってくれれば、今後、娘との関係を断ち切って自由になってもらって構わない。婚約不履行で訴えたりもしないから。」

 

※解説:「婚約不履行」とは、正当な理由もなく「婚約」を破棄した者は、損害賠償義務を負う。

 

なっ、何だって?最後の訴えるとか訴えないとか?!自分は、何か違法行為をしてしまったのか???…いや、タイの法律って?そんなわけはないはずだけど、訴えられたくない!どうするか…? でも、25万バーツを払ってしまえば、これで彼女ともこの家族とも縁が切れる…のか。

 

 

彼女の家族に囲まれて、結婚式費用を払えと追い込まれ、尻込みしたのも理由の1つだが、、それより、正直なところ、彼女との縁を断ち切りたかった。一晩、考えに考えた結果、次の日、僕は、25万バーツを用意して彼女の家族らへ支払った。

 

それから、彼女とその家族へ挨拶をして別れを告げたが、彼女も家族らも、僕なんてどうでもいいといった態度だった。

 

 

虚しさとこれまで感じたことない奇妙な気分で、僕は、バスに揺られながらバンコクの自宅へと向かった。あれから3か月が経とうとするが、彼女からの連絡はない。

 

終わり

 

 

 

【解説】 この実例では、タイ人の彼女が、周囲や両親に「外国人(日本人)と結婚するの」と言ってしまい、また、家族もそれに盛り上がり、周囲へ結婚式をするなどと言いまわった結果の結婚式かもしれない。

 

後々、次々に色々な請求をされたり、大きな事件へは発展してないまでも、やはり、納得のいかない25万バーツの結婚式費用を請求されているところを見ると、いい様に利用されてしまったと言える。

 

日本では、あまり考えられないだろうが、実際、タイでこのような偽装結婚式が行われることはよくある。おそらく、多くの日本人なら、これからの二人の未来がなく、本当に結婚(入籍)して生活を共にしないのであれば、形だけの結婚式を挙げようなんて間違って考えないだろう。しかし、ここが文化の差異なのだろうか? 今良ければ、後のことは後で考えようという「今ここ思考」がタイなのかもしれない。

 

 

タイで日本人がタイ人女性と偽装結婚式を挙げるに至る理由

 

さて、タイ人女性と日本人男性の間で偽装結婚式が行われるケースは、その事情や状況によって様々だ。例えば…

 

⑴ 元々、家庭のある日本人男性とタイ人女性との間に子供ができてしまったケース

付き合っているタイ人女性が、日本人男性に家庭があることを知っていても、ほとんどの場合は、「結婚はしなくていいから、結婚式だけ挙げて欲しい」と頼まれるという。

 

理由の1つは、シングルマザーと周囲に思われないため。もう一つは、日本人とのハーフの子供を身ごもったステイタスを周囲に知ってもらうためだ。家族からは、結婚式費用や(結納金:สินสอดทองหมั้น sǐn sɔ̀ɔt thɔɔŋ mân)も求められる。よっぽど協議しない限りは、後々、子供の養育費請求や彼女の毎月の生活費も請求されることになる。

 

 

⑵ 男性側に้は身に覚えのない妊娠発覚

このケースは、実は、タイ人女性の身ごもった子供の実の父親が不明だったり、別れた(逃げられた)男の子供だったりする場合も多く、その際、日本人男性は、都合よく子供の父親のように仕立て上げられる。どう日にちを計算しても合わないし、自分の子供だとは考えられない。だからと言って、その証拠もない。

 

また、当の彼女本人や日本人男性側に結婚の意志がない場合は、⑴と同様に結婚式を挙げることを迫られ、それだけで終われば運がいいが、大半は、次々と責任追及をされ、金をむしり取ろうとしてくる。本当に結婚を迫られることもある。

 

 

⑶ 最初から金(結納金)等の摂取目的、妊娠詐欺や結婚詐欺

最初から、金目的の詐欺や詐欺まがい(最初から妊娠などしてない嘘の場合や、他の男性の子を妊娠している)のケースもある。何しろ、「結婚式、結婚式」「責任、責任」

と騒ぎ立てられ、多額の結納金を請求される。実際に結納金を手渡した後、まだ式を挙げないうちに、その金を持って彼女が消えてしまうケースもある。

 

結婚式を挙げる場合でも、婚姻届けを提出するまでには至らないことが多い。妊娠している場合は(嘘も含め)、出産費用や診療代、彼女の生活費などを次々と請求されるはめになる。日本人男性側で、医師の診断書等で妊娠の事実を確認していない場合は、妊娠自体が嘘だったのか、本当だったのか?「子供は流産した」と言われて終了。そして、それまで支払った結納金や出産費用も相手から返してくることはない。